飼い主さんも愛犬も幸せになれる多頭飼いをしたいですよね
犬を多頭飼いすることにはメリットもあればデメリットもあります。
でも、これって当たり前のことですよね。
なぜなら、犬を飼うということは命を預かることと同じことだからです。
多頭飼いであろうと1匹飼いであろうと、楽しい面もあれば大変な面もあるのが当たり前で、そこに違いなどはありません。
とは言え、犬の多頭飼いについてはどうしてもデメリットの部分ばかりが大きくクローズアップされてしまいがちです。
でも、本来はメリットとデメリットの両面を正しく理解したうえで、犬の多頭飼いについて考えるべきではないでしょうか。
多頭飼いは犬にとっての自然な形態
ウサギは寂しいと死んでしまう……なんてフレーズがありますよね。
でも実際のところ、仔ウサギ同士が巣の中で集まり、保温をしていたのが引き離されることで体温調節できず亡くなってしまう事であったり、縄張り意識が非情に強い生き物なので、ペットとして飼う分には多頭飼育はあまり向かないのだとか。
むしろ、犬こそ群れの中にいることに幸せを感じるので、寂しいと体調を崩してしまう……と言ったほうが正しいのかもしれません。
もちろん、個体差はありますが、犬は孤独がとても苦手な生き物。群れでいることこそが本来の姿なのです。
そういった意味から考えても、複数の犬が同じ空間で暮らす多頭飼いは、本来の犬の習性に合致していることは間違いありません。
飼い主にとってのメリットとは
犬は群れで生きる生き物――。とはいえ、犬の多頭飼いでメリットがあるのは、なにも犬の側だけではありません。
飼い主にとっても1匹飼いのときにはなかったメリットが確実に感じられるはずです。
競争によって食の細い犬の食欲が改善する
たとえば、1匹飼いのときには遊び食いをしたり食べ好みをしたりと、病気ではないのに食が細かった犬も、多頭飼いになるとよく食べるようになります。
これは競争が生まれるため、ぼやぼやしていたら他の犬に食べられてしまうからです。
食欲は健康のバロメータの一つですから、飼い主としては心配の種が一つ減ることになるのではないでしょうか。
1匹だけではないことの安心感
1匹飼いの犬を留守番させるときは、いろいろなことが心配になるものですよね。
ぽつんと1匹で飼い主の帰りを待っている姿を想像するだけで居たたまれなくなります。
しかし多頭飼いの場合は、少なくとも1匹だけで寂しい思いをさせることはありません。
また、多頭飼いをしていると犬の中の1匹になにか異変が生じた場合、他の犬が騒ぐことがあります。
これにより、たとえば真夜中に「何かが起きた」ことを飼い主が気づきやすくなるのは、確実にメリットと言えるのではないでしょうか。
後輩犬のしつけがしやすくなる
先住犬にしっかりとしつけがされている場合、2匹目以降の犬には1匹目のときほど時間をかけなくても、しつけが入りやすくなることがあります。
これは、あとから来た犬が先住犬のまねをするからで、トイレのしつけなどには顕著に成果が表れるかもしれません。
飼い主が遊び相手をする時間を軽減できる
子犬や若い犬は遊びたくていつもうずうずしています。
当然のように飼い主に「遊んでくれ」とジャレついてくるわけですが、四六時中相手をしてあげるのは難しいですよね。そんなとき、先住犬が後輩犬の相手をしてくれると、後輩犬はストレスを感じなくて済みますし、飼い主にも時間の余裕ができます。
飼い主の心のケア
犬と犬が遊ぶ姿は見ていて本当に気持ちがほぐれるものです。
人間には引き出せなかったいきいきとした表情を見ることができるのも、多頭飼いならではのメリットではないでしょうか。
また、複数の犬と暮らしていると、ペットロスからの回復にも効果が期待できるかもしれません。
愛犬の1匹を亡くした悲しみがそう簡単に癒えるわけではありませんが、他の犬の世話をすることが、立ち直るきっかけになるのです。
~多頭飼いで悩む方へ~
愛犬にとってのメリットとは
群れで生きることは、犬にとって最も自然な姿です。
犬同士が触れ合うことは肉体的にも精神的にも、本来あるべき刺激を受けることになるのではないでしょうか。
犬と犬の触れ合い方が身につく
犬との付き合い方を知らない犬は、残念なことに力加減を知りません。
なぜなら、そういったことは本来犬同士でじゃれあったりケンカをしたりする中で身につけていくものだからです。
そして、その中から群れとしての正しい序列のつけ方を理解し、自分の立場や上下関係を学んでいくのではないでしょうか。
このようなメリットは、犬を多頭飼いするうえで最も重要なことなのかもしれません。
本来持っている犬としての能力が引き出されやすい
犬は犬と一緒に走ったり跳んだりしているときが、一番本来の能力を発揮できるのかもしれません。
犬同士が夢中になって遊んでいる中で、人間にジャレつくときには見せなかった俊敏な動きや見事な跳躍力を披露することは珍しくないのです。
せっかく犬として生まれてきたのです。
持てるポテンシャルをより多く引き出してあげることができたら、飼い主としても嬉しいことではないでしょうか。
競争により知的な刺激を受ける
たとえば飼い主とボール遊びをしているとき、1匹飼いの犬であれば投げたボールは何も工夫をしなくても必ずその犬のものです。
しかし、多頭飼いの場合はそうはいきません。どうすれば他の犬を出し抜いてボールを確保できるのかを考えるようになるのです。
工夫の仕方には犬の個性が表れますので、たかがボール遊びとはいえ、多頭飼いの場合はより才能を伸ばすためのよい機会にもなりえるのです。
過保護になりにくさが協調性を生む
1匹飼いの犬は家族全員からの愛情を無条件で受けることになります。それは悪いことではありませんが、ときには犬を勘違いさせてしまい、悪い影響が出てしまうことも。
多頭飼いの場合は1匹に対して過保護になりにくい環境にあるため、結果として比較的自然に犬同士の協調性が生まれやすくなるのです。
犬が犬として生きられることが最大のメリット
犬の多頭飼いをするメリットは、犬が犬として生きられることではないでしょうか。
犬が複数匹いれば、ときにはケンカをすることもあります。
それを必要なこととしてきちんと見守っていられる度量を持つことで、飼い主は多頭飼いのメリットをより多く感じられるのかもしれません。