犬の平均寿命は約10~15年と言われており、なるべくなら1日でも多く健康で長生きして欲しいと思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。
とくに、都会に住む犬はお散歩できるコースや場所が限られていることもあり、運動不足になりやすいです。
もしも、このまま慢性的な運動不足が続くと、筋力低下や肥満といった問題が起こりやすく、将来的にひとりで歩けられなくなり、介護が必要になるケースも少なくありません。
そこで今回は、犬の体を触って確かめるためのチェックポイントをご説明いたします。
ポイント①BCSで肥満かどうかをチェックする
運動不足になってしまうと、毎日に必要な運動量が消費できないばかりか、いつもと同じ食事量を食べ続けることで、自然と肥満傾向になる場合があります。
とくに、長い被毛で覆われている犬の場合、被毛で体形が隠されていることで飼い主さん自身も愛犬が肥満だとは気づかない場合がよくあります。
見た目には普通そうに見えていても、実際には内臓脂肪が増え、心臓に負担をかけてしまうという場合もあるので、愛犬の健康のために肥満は注意しておきたいところです。
他にも、肥満によってもたらされる病気がいくつかあります。
・糖尿病
・脂肪肝
・呼吸器系の病気
・心臓病
・関節痛
など
「そうは言っても、犬には個体差があるし、愛犬の理想体型が分からない…」という飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな時には、環境省が推奨するBCS(ボディ・コンディション・スコア)で、愛犬の体型が肥満なのか、やせなのか、どの状態にあるのかをチェックすることをおすすめします。
参考 参考:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」BCSで理想的な体型は、犬を上から見た時に腰のくびれがあり、肋骨部分を触ると余分な脂肪が付いておらず、肋骨が触って分かる状態を指しています。
愛犬が肥満状態かどうか、BCSでチェックしてみてくださいね。
もしも、肥満だった場合は、室内遊びや散歩など運動量を少しずつ増やし、間食や食事の量を減らすことも検討しましょう。
ポイント②しこりやできものがないかチェックする
犬の全身は被毛に覆われているため、実際に触ってみるまでしこりやできものがあることに気づかない場合があります。
触ってみて、しこりやできものが見つかった場合、愛犬が痛がるそぶりがなくても一度動物病院を受診することをおすすめします。
この時、チェックしておきたいのは全身ですが、中でも足の付け根や喉、下あごなどリンパ節が腫れたりしていないか、お腹が異常に膨れていないかなど念入りに調べましょう。
また、お散歩後はノミやダニなどが犬の体に付いていないかもチェックしておきたいですね。
特に注意しておきたいのはマダニで、刺されると最悪の場合、死に至ることもあるので、予防薬の投与やお散歩後のブラッシングを徹底するようにしましょう。
ちなみに、ブラッシングの際に被毛の流れに逆らってブラッシングをすると、皮膚の状態が見やすくなりますよ。
ポイント③触って痛がるなら注意が必要
「いつもと比べて、歩き方がヘンな気がする…」そんな愛犬の異変を感じることはありませんか?
歩き方や立ち上がったり座ったりする際に異変がある場合、慢性的な運動不足が原因で筋力が低下し、手足に異常をきたす場合があります。
もしも、愛犬の体を触った時に痛がったり触られるのを嫌がったりする場合は、注意が必要です。
なぜなら、骨や筋肉、関節に異常がある可能性が考えられるからです。
とくに、手足に痛みや違和感がある場合、歩き方がいつもと違い、どちらかに偏っていたり、立ったり座ったりがいつもより動作が遅いということがあります。
他にも、次のような異変が見られる場合は、注意が必要です。
・片足が地面に着けられない
・足を引きずる
・ふらつく
・前かがみになって歩く
・頻繁につまずく
など
このように、愛犬の動作に少しでも異常がある場合は、動物病院を受診するようにしましょう。
とくに、都会に住む犬の場合、土などのクッション性のある地面よりも硬いアスファルトの上を散歩することが多いため、足腰に負担がかかりやすいです。
愛犬を外で歩かせる際は、なるべく土などのクッション性のある地面を歩かせるようにしましょう。
ポイント④皮膚に異常がないか
皮膚が赤くなっていたり、痒がって舐めたりする場合、皮膚病である可能性も考えられます。
犬の毛に逆らって皮膚を観察した際に、脱毛やフケ、かさぶたなどがないかをチェックしてみましょう。
さらに、全身だけでなく、見落としがちな毛が薄い口回りや手足の指間部分も丁寧にチェックする必要があります。
寄生虫やノミダニなども原因のひとつとして考えられますが、実は運動不足が原因である場合もあります。
「運動不足と皮膚病に何の関係があるの?」と、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、運動不足が直接的な原因ではありません。要は、運動不足によってストレスが溜まったことで、犬はストレス解消のために手足を舐めたり噛んだりすることがあるのです。
ストレスは時に、精神的な病気の原因になることもあります。
とくに、生活スペースが比較的狭くなりがちな都会に住む犬の場合は、運動不足にならないよう十分な運動量を確保してあげましょう。
ポイント⑤犬は我慢強い動物だと理解しておこう!
愛犬に異変が見られたので動物病院に連れて行くと、すでに重症だったという話を聞くことも少なくありません。
飼い主さんとしては、「もっと早くに気づいてあげれば、こんなことにはならなかったのに…」とご自身を責める方もいらっしゃいます。
でも、普段からどんなに愛犬とのスキンシップを大切にしている飼い主さんでも、愛犬の異変に気づくことができない場合があります。
なぜなら、犬は「我慢強い動物」だからです。
ただ、犬は痛みには強いと言われるからと言って、痛みを感じないという訳ではなく、犬だって痛いものは痛いと感じます。
人間と大きく違うのは、犬は自然界で自分の命を守るために弱い部分をあえて隠そうとする習性がある点です。
その理由はただひとつ。弱っているところを見せると、真っ先に命を狙われてしまうからです。
現代の犬にもその名残が色濃く残っている犬もいるため、痛がる素振りを見せずにあえて隠すという行動を取るのです。
そのため、飼い主さんでも愛犬の異変に気づけないことがあるのです。
飼い主さんに見せる顔と、ほかの人に見せる顔は違うことがあります。
だからこそ、愛犬の体の異変を早いうちに察知できるようにするためにも、定期的に全身を触って体の状態をチェックしてあげましょう。
まとめ
都会でもドッグランや広場がありますが、アスファルトで舗装された道路が多く、犬にとっては足腰への負担になりやすい環境だと言えるでしょう。
とくに、足腰が弱ると若い頃は元気いっぱいでも、シニア期に入ると骨や関節などを痛めて歩けなくなり、最終的には寝たきりになって介護が必要になることもあります。
愛犬の健康のためにも、定期的に全身を触って直に異常がないかをチェックするようにしましょう。
そして、なるべく愛犬に必要な運動を行い、筋力が低下しないように気をつけてあげてくださいね。