トイプードルとの多頭飼いをより豊かにするためには?
初心者でも飼いやすい犬種は?と聞かれたら、多くの犬好きが「トイプードル」と答えるのではないでしょうか。
トイプードルは人懐っこくて遊び好き、さらには犬の知能テストで第2位を獲得した実績を持つほどの、とても頭の良い犬です。
1位は牧羊犬として有名なボーダーコリー、3位は警察犬でおなじみのジャーマンシェパードですから、トイプードルの賢さはまさにお墨付きと言えるのではないでしょうか。
そんなトイプードルですから、一度その魅力を知ってしまうと、2頭目を家族に迎える事は珍しくありません。
しかし、飼いやすい犬種の代表格とはいえ、トイプードルを多頭飼いする際にも気をつけなければいけないことがあるのです。
トイプードルは毛色によって性格の違う犬
トイプードルと一括りで呼んでいますが、実は毛色によってかなり性格が違うことでも知られています。
ここ最近ではティディベアカットの流行から、レッドやアプリコットのトイプードルが主流になりました。
しかし、トイプードルはドッグショーに出場させるためのブリーディングがされてきた年月が長い犬種です。
そして、昔から現代に至るまでドッグショーで活躍していたトイプードルのほとんどがホワイトやブラック。
そのため、ホワイトやブラックはドッグショーのような緊張を強いられる場面でも落ち着いていられる、精神的に安定感のある犬が掛け合わされてきた歴史を持っているのです。その性質は、現代においても比較的受け継がれていると言ってもいいのではないでしょうか。
ところがレッドやアプリコットなどの、ここ数年で人気が高くなった毛色は、色味だけを重視したブリーディングがされがちです。
そのため、精神的な面にはかなりのばらつきがあるのが現状です。要するに、ブリーディングの歴史そのものが浅いため、ホワイトやブラックに比べると性質が安定していないのです。その結果、かなり神経質な性質を持ち合わせていることもあり、飼い主が手を焼いてしまうことも。
多頭飼いをするうえでベストなのは、フレンドリーでなおかつ落ち着いた性格の犬。
しかし、見た目だけを重視して人気色のレッドやアプリコットばかりで多頭飼いをすると、場合によっては群れの調和を乱しやすい個体が混ざることもあるのです。
とはいえ、ホワイトやブラックを選んだからといって、必ずしも多頭飼いに理想的な性格ばかりとは限りません。
もちろん、レッドやアプリコットにも多頭飼いに向いた温和な性格の個体はいます。
結局、見た目の可愛さや好みの毛色だけで選んでしまうのではなく、総合的に判断して多頭飼いに向いているかどうかを見極めることが大切なのではないでしょうか。
性別による組み合わせは慎重に
一番トラブルが少ないのはオスとメスの組み合わせです。
しかし、この組み合わせの一番の問題は、発情期をどうするか、ということではないでしょうか。
将来的に子犬を生ませたいのであれば別ですが、そうでない場合は避妊や去勢を必ず視野に入れる必要があります。
また、子犬を生ませる予定だとしても、小型犬の妊娠・出産は思った以上のリスクがあることを、絶対に忘れるべきではありません。
特に近年のトイプードルは小型化が進んでいるため、帝王切開になることも珍しくないのです。
子犬を生ませてどんどん多頭飼いの数を増やそうと思っていたのに、妊娠・出産が原因で母犬を失ってしまったという悲劇は、残念なことに少なくありません。
トイプードルのあまりの可愛さからついつい安易に子犬を生ませたいと考えてしまいがちですが、そこは慎重に慎重を重ねて考えなければいけない部分なのです。
そういったリスクを回避するとしたら、メスのみ、もしくはオスのみの多頭飼いをしたほうがよさそうです。
この場合は、メスだけの群れのほうが比較的平和である可能性が高くなります。オスだけの多頭飼いができないわけではありませんが、オス犬は縄張り意識を持ちやすいため注意が必要です。
とはいえ、メス犬が絶対に縄張り意識を持たないわけではありません。メスだけの多頭飼いであっても、群れの上下関係については飼い主さんが注意深く見守る必要があります。
トイプードルはトリミングが必要な犬種
トイプードルの被毛はシングルコートで抜け毛自体は少ないですが、放っておけばどんどん伸びてモコモコになってしまいます。
そのため、定期的にトリミングをしなければいけません。
トリミングの費用はサロンによってまちまちですが、トイプードルの場合は顔からボディ、四肢、尻尾と全身をカットする必要があるので、料金的には小型犬のトリミングの中では高いほうの価格に設定されていることがほとんど。
つまり、多頭飼いの場合はその料金×飼っている数になるわけですね。
この経済的な部分を度外視して考えてしまうと、あとから大変な思いをすることになるかもしれません。
トリミング代金を浮かせるために自分でカットをするにしても、トリミングに慣れない飼い主がトイプードル1匹の全身を処理するには、けっこうな時間がかかります。
となると、多頭飼いの場合はかかった時間×飼っている数になることを忘れてはいけないのです。
群れの調和を尊重し、愛情を均等に与えることが大切
トイプードルは明るくて懐っこくて頭のいい素晴らしい犬種です。
しかし、頭が良いだけに、飼い主さんの愛情のバランスがきちんととれていないことを、とても敏感に気づいてしまう犬種でもあります。
トイプードルの多頭飼いをするなら、飼い主さんは1匹1匹にきちんと目を配り、愛情が偏らないように気をつけることが大切なのかもしれません。
あなたがいない間のお世話を安心して任せるには?
大好きなトイプードルの多頭飼いをする毎日は、にぎやかで楽しいものです。
しかしその反面、急な出張や旅行、冠婚葬祭などで家をあけにくいという難点も……。なんとか日帰りできる距離や日程であればいいのですが、出かける場所や用事の内容によっては、どうがんばっても難しいこともありますよね。
また、そういう切羽詰った状況ではないにしろ、たまには犬たちを置いてのんびりと旅行に行きたくなることだってあるでしょう。
そんなときは、我慢をしないでペットシッターにお世話を任せてみてはいかがでしょうか。
ペットシッターに愛犬の世話を依頼することの最大のメリットは、なんといっても犬の暮らす環境をなにも変えずにすむことです。
飼い主不在によるストレスを最小限におさえることができるのは、出かける飼い主にとっても安心できることですよね。
とはいえ、ペットシッターがお世話をする時間は、どうしたって限られてしまうもの。
では、ペットシッターにどんな内容で依頼をすれば、飼い主が不在でも犬たちがより快適に過ごせるのでしょうか。
個別の情報を詳しく伝えることで、きめのこまかい対応が期待できる
ペットシッターの仕事内容として、最も基本的なものは衛生管理と食事や飲み水のお世話です。
- 排泄物などの片付け
- 室内の換気と空調
- 犬が汚した部分の清掃
- ドッグフードの用意と使った食器の洗浄
- 給水器の洗浄と新鮮なお水への交換
こういった内容は、ほとんどのペットシッターが基本項目として対応していることですから、とりたてて指示することでもないのでは?と思われるかもしれません。
しかし飼い主からの事前情報が、よりきめのこまかいお世話へとつながるのです。
たとえば、お腹の調子を崩しやすい子や、空腹のときに嘔吐をしやすい子がいるとします。
その場合は、ケージの中だけでなく使っている敷物などの点検もしてもらったほうがよいかもしれません。
寝床に敷かれた毛布などに汚れがついていても、まるまっていると見落としやすいからです。
また、投薬が必要な犬の個別情報はもちろんのこと、フードを横取りする犬がいるとしたら、その情報も事前にわかっていたほうがペットシッターは対応がしやすくなります。
万が一薬が混ぜてあるフードを横取りされてしまった場合、薬を飲まなければいけない子の体調が心配になるのはもちろんのこと、横取りした犬の体調も同時に心配になるからです。
こういった事態は、飼い主が不在であろうと絶対に避けなければいけないことですよね。
また、極端に食べるスピードが遅い子がいる場合にも、事前にわかっていれば他の犬にとられないように、ペットシッターはガードをしながら見守ることができます。
多頭飼いの犬の散歩
いつもは飼い主が多頭飼いのワンちゃんすべてを同時に散歩へ連れ出しているとします。
ペットシッターがお世話をする項目の中にはお散歩が含まれていることも多いのですが、飼い主が不在の状態で多頭の犬を散歩に連れ出すことは、あきらめたほうがよいかもしれません。
というのも、ワンちゃんたちの安全を確保できないかもしれないからです。
それでもどうしてもお散歩を希望する場合、おそらくは1匹ずつの対応になります。
しかし、これはあまりおすすめできません。
というのも、飼い主が在宅しているときなら別ですが、不在の状況で1匹だけを外に連れ出してしまうと、家に残ったほかの犬が興奮して大騒ぎをしてしまう可能性が高いからです。
そんな状況は犬たちの不安を無駄に煽るだけでなく、近所迷惑にもなりかねません。
いつもと同じように過ごさせてあげたいのはやまやまですが、多頭飼いの場合、お散歩に関しては普段の愛犬の様子をしっかりとシッターに伝えておいたほうが安全です。
~ペットを旅行中留守番させる際の対策はこちら~
いつもとは違うオモチャの効果
ペットシッターが犬のお世話をするとき、攻撃的な犬がいると刺激をしないように作業ができる範囲が限られてしまうことがあります。
反対に、犬がペットシッターに対して友好的であればあるほど、仕事がしやすくなるのは間違いありません。
ペットシッターの仕事がしやすいということは、いろいろな面で見落としが少なくて済むことにつながります。
そのためにも、飼い主の不在時にペットシッターがお世話をするときは、いかにも犬たちが好みそうなオモチャを用意しておくのがおすすめです。
そして、そのオモチャで遊べるのは飼い主が不在のときだけ、という状況を作っておくことで、より効果があがりやすくなるのです。
犬たちが夢中になってそのオモチャで遊んでくれたら、ペットシッターが仕事をしやすくなるのはもちろんのこと、多少なりとも飼い主不在による不安をやわらげてあげられるかもしれません。
これは、オヤツにもいえることです。
留守番のときにだけもらえるオヤツがあると、ペットシッターと犬との距離がぐっと縮まるかもしれません。
しかし、複数の犬がいれば体質もいろいろという場合もあります。不用意な誤食事故を防ぐためにも、留守番用のオヤツはどの犬が食べても問題のない素材でできたものだけにしておくことが大切です。
ペットシッターを上手に利用するコツ
どんなお世話をペットシッターに依頼するにしても、大切なのは事前にしっかりと打ち合わせができていることです。
複数いる犬の中でリーダー格はどの子なのか、一番下に見られているのはどの子なのか。
群れとしての特徴をペットシッターに伝えておくことで、留守番の時間をより快適なものにできるのではないでしょうか。