社会化期に必要なことは外部の人との接触です
犬を飼うとなった場合、圧倒的に多いのは、子犬の段階から育てるというケースです。
もちろん成犬を引き取るというケースもありますが、やはり子犬の可愛らしさは別格です。
しかししつけをしっかりされている成犬と違い、これからしつけをしていかなければならない子犬を育てるのは大変です。
特に初めて犬を飼う場合は注意が必要でしょう。可愛いからといってただ甘やかして育てるわけにはいかないからです。
しつけがされていない場合、将来、一番不幸な思いをするのは愛犬自身なのです。
今回から「子犬のしつけの方法やその効果」などをお伝えしていきます。少しでも飼い主の皆さんのお役にたてれば幸いです。
犬の社会化期はいつごろなのか?
自分以外の動物に対して感情が確立してくる重要な時期を「社会化期」と呼びます。
犬種によってやや時期が異なりますが、おおよそ生後4週間から13週間とされています。ピークは生後6週間から8週間です。生後2ヶ月といったタイミングですね。
この社会化期の子犬には、外の世界に対する興味や好奇心が出てきます。同時に見知らぬ人や動物、環境への警戒心も見られるようになります。
どちらも共存しているのが、この社会化期の特徴です。社会化期を過ぎると、警戒心の方が強くなるとされています。ですから好奇心の強いこの時期に多くの経験をさせてあげるわけです。
子犬の社会化期の特徴
他者に愛情を抱く時期です。ずっとくるまって育ってきたシーツに対してすら愛情を抱きます。
この時期にポジティブな接触をした動物に対しては、生涯、長期的な愛情を抱くようになるといわれています。
ちなみに頻繁に接触していなければならないわけではなく、週に2回程度、それも1回20分程度で問題はないそうです。
この社会化期に優しく育てられると、その後、人間と友好な関係を築きやすくなります。
ただし甘やかすと後で大変なことにもなります。生後10週間の中で、いたずらをしても罰を受けていないで育つと、まったく訓練できないわがままな成犬になってしまうそうです。
つまりこの社会化期は「しつけ」にとってもとても重要な時期でもあるのです。
もちろん相手は子犬ですから、しつけには時間も労力も必要です。飼い主は、根気強く接していかなければなりません。
社会化期の経験を豊かにする方法とは?
「トイレトレーニング」や「待て」といったルールを通じて、飼い主がリーダーであることを認識します。
自他の区別がつくようになり、環境に素直に適応するようになるのが、社会化期です。しかし、しつけだけでは社会に適応できるようにはなりません。
好奇心と警戒心が混在する時期だからこそ、多くの世界に触れさせる必要があります。
まずは外の環境に触れさせることです。外の世界は、家やケージの中で暮らすだけでは感じられない刺激に満ちています。
抱っこ散歩で構わないので慣らしていくことが大切です。そうすることで外の臭いや風、そして音などに慣れていきます。
特に生活音に慣れることは重要でしょう。車に乗ることにも慣れてくれると助かりますね。
そしてこの時期にたくさんの人間に会わせることもしておきましょう。飼い主だけにしか接触していない犬は他の人間に警戒心を持つようになります。
ですからいろいろな世代の人間に触れ合うことが大切です。できれば人間だけでなく、他の犬にも慣れておきたいところです。様々な大きさや色の犬に慣れておくと犬社会の社交性が養われます。
ただしこれには一点だけ重大な問題があり、この社会化期と子犬のワクチン接種の時期が重なっていることです。
ワクチンを接種中の子犬は免疫力が不十分なので、病原体を持っている犬と接触することはできません。命にかかわることになるからです。
ここだけはよく考えて行動すべきでしょう。他の犬とかかわるのがワクチン接種終了後になっても仕方がないともいえます。
もう一つ社会化期の子犬の経験を豊かにするのが「しつけ」です。特に人間に対して絶対にやってはいけないことは確実にこの時期にしつけましょう。
一番は「噛み癖」です。
子犬の「甘噛み」は本能的なもので、仕方がない部分もあるのですが、それをそのまま放置していると成犬になったときに、とんでもない事故を引き起こすことになりかねません。
「しつけの仕方」は次回じっくりお伝えしますが、噛み癖をなくしておくことは必要です。
しつけを通じて主従関係が確立していきます。しかし間違った手段でしつけをすると、主従関係が崩壊する危険性もありますので注意が必要です。
社会化期についてのお話は以上になりますが、注意すべきことは、この時期を過ぎたら放置しておいていいというわけではないということです。
社会化期に続いて犬は、若齢期に入りますが、社会化期に触れ合っていたのに若齢期にまったく触れ合わなくなると、元に戻ってしまうという説もあります。
愛犬の将来を考えた愛情のこもった育て方をしていきたいものですね。