【大型犬の健康寿命】飼い主さんにできる健康管理とポイント

大型犬と生活する上で気になる寿命について、飼い主さんができる事

ペットフード協会の統計によるとチワワなどの小型犬種類の平均寿命が15.01年であるのに対し、中・大型犬種類の平均寿命は13.73年と短命です。

統計にも表れるような寿命の短さを、飼い主が日頃の健康管理を徹底することで改善できるとしたらどうでしょう?

飼い主が自宅でできる大型犬の健康、心と体を生き生きさせ、健康寿命年齢を引き上げるための3つのポイントをペットシッターの視点から紹介します。

ストレスが大型犬の健康寿命を縮める!

夕日にたそがれる犬
大型犬の寿命について 飼い主との絆が心の安定をもたらす

大型犬は大きな体からは想像もできないようなデリケートさや、警戒心を持っている犬種が多くいます。

例えば、シェパードやボクサーは飼い主や家族には心を許し、身も心もゆだねる態度をとりますが、見ず知らずの人や場所、他の動物に対しては厳しい態度をとることがよくあります。

ボルゾイはナイーブなところがありますし、サルーキはかなり強固な意志を持っていて自我を通そうとするところがあります。

そして、ゴールデン・レトリーバーは知的な行動で人の役に立つことに大きな喜びを感じます。

このように、大型犬はしつけの面、健康寿命、精神面でも飼い主との強い繋がりが欠かせません。

犬が安心して飼い主に身をゆだねられるだけでなく「この人と一緒にいれば大丈夫!」「この家族には自分が必要で愛されている」と感じられる環境が不可欠です。

犬と一緒に過ごす時間をしっかり作り、またしつけや日々のケアを通して絆を強固なものにしてください。

大型犬の寿命について 運動不足は最大のストレスの原因

大型犬は体が大きいだけあって、体力が豊富でとてもエネルギッシュです。

そして、走る・泳ぐ・獲物を捕らえるといった本能的な欲求が強いので、それらが満たされなければ強いストレスを感じ、寿命にも影響します。

ストレスは気力の低下をはじめ、不満が募って怒りが増長されたり、問題行動が増えたり、心の病や心臓をはじめとする全身機能の低下などに繋がります。

ただ歩くだけの散歩ではなく、全力で自由に走り回る開放感、獲物に見立てたものを獲得する喜び、集中運動や臭いを嗅いで捜索するなど、様々な満足感を与えてストレスが溜まらないように心がけましょう。

毎日でなくてもいいので、大型犬には定期的に身も心も満たすような散歩や遊びを経験させてあげ、人間と共に健康寿命年齢を引き上げていきましょう。

大型犬の寿命について 性格に合った環境を整えよう

大型犬にはおおまかな性格の傾向がありますが、その中でも個性があり、いろいろな性格が見られます。

社交的な大型犬もいれば、他の動物が苦手な大型犬もいます。飼い主のそばを片時も離れたくない犬もいれば、自分だけの時間を大切にする犬もいます。

家族と常に賑やかな時間を過ごしていたい犬もいれば、他の動物とも仲良く和気藹々と過ごす時間が欲しい犬もいます。

愛犬の性格を見極め、それに合った生活環境を整えてあげましょう。特に安心して静かに時間を過ごすことができる大型犬専用エリアは不可欠です。

大型犬にも自分だけで静かに過ごす時間が必要です。飼い主と一緒でなければ不安が募って落ち着けない! そんな飼い主依存症にならないよう、適度な距離を保つようにしましょう。

室内外でも屋外飼いでも、必ず大型犬だけが過ごすエリア(サークルで囲ったエリアや、クレートの寝床など)を準備してください。

大型犬は大切な家族ですが、24時間365日べったり一緒にいればそれでいいわけではありません。

犬の自立性を重んじ、ベタベタし過ぎない適度な距離感を保った環境を作ることも愛犬の健康寿命年齢に影響します。

食事の管理が健康寿命の維持に必要な理由

フードを食べる大型犬
大型犬に必要な摂取エネルギーの管理を徹底しよう

今はドッグフードも、ドライ・セミモイスト・ウェットなど水分含量による違い、ライフステージ別フード、療養食など体調に合わせたフードなど多種多様なタイプがあります。

普段の食事には総合栄養食といわれる「これと水さえ口にしていれば栄養面はOK」というフードを選んでください。

経済面でも栄養面でもメリットが大きいドライタイプの総合栄養食が便利です。

レトルトパックや缶詰などは嗜好性が高いですし、手作りフードも魅力が多いのですが、賞味期限の寿命が短いのと、大型犬の栄養バランスに難点があるのが理由なため日常的な食事には向いていません。

市販の総合栄養食と上手に組み合わせて活用するのがおすすめです。

なお、市販のドッグフードのパッケージには体重1kgあたりの目安となる摂取量が記載されています。

大型犬の体重を把握し、どれだけ食べさせればいいのか必ず確認して飼い主自身が把握するようにしましょう。

飼い主が摂取カロリーをしっかり管理することで、肥満や栄養素の欠乏症、糖尿病や腎臓病などが予防でき、健康寿命に大きく影響します。

なお、おやつは基本的に不要です。おやつを食べさせるなら、そのカロリー分、フードを減らしてください。

おやつはしつけやトレーニングの場面でとても有効ですが、与えすぎに注意してください。

健康寿命のために 運動と食事のタイミングに注意

大型犬に運動は必要不可欠です。最低でも、1日1時間以上の運動を朝夕2回行うようにしてください。

しかし、運動直後に水を飲ませたり、食事をさせるのは厳禁です。

大型犬は胸の部分が広くて深いのが特徴で、胃捻転という健康寿命に関わる病気になりやすい特徴があります。

胃捻転は、激しい運動の時や運動直後に食事・飲食をした時に起こります。

胃がねじれると、食堂と幽門(胃と腸の境目)がふさがってしまって胃の中にガスが溜まってしまいます。

胃が異常に膨らんで強い吐き気や激痛、血行不良による循環障害でショック状態に陥り、命が危険にさらされるだけでなく緊急手術が必要になることもよくあります。

運動直後の食事や、多くのフードを一気に食べるような状況は避けてください。

一度かかると再発し易い病気なので、食事は1回の量を減らし、食事回数を増やすような対策をとってください。

老化の兆候をいち早く察知することが健康寿命に関係します

飼い主さんの側で笑顔の犬
大型犬は7歳を過ぎた頃から老化の兆候が見え始めます。老化の兆候は体と心の両面に現れてきます。

  • 散歩の途中で立ち止まることが増える
  • 毛艶が悪くなったり、脱毛するようになる
  • 車にジャンプして乗れなくなる
  • 皮膚にイボや色素沈着がみられるようになる
  • 物にぶつかったり、転んだりする頻度が増える
  • 呼んでも反応しないことが増える
  • 食欲が落ちてくる
  • 遊びや散歩に誘っても喜ばなくなる

こうした様子が見られるようになったら、環境の変化を少なくし、体力を消耗しない生活習慣に変えてあげましょう。

大型犬のシニア期に大切なのは、体の機能を維持するための運動と食事です。

ケガをしないと同時に体の機能が失われないように、愛犬に合った運動と食事を管理し、生活リズムを整えてあげましょう。

まとめ

散歩中のボーダーコリー
大型犬の生活を充実させ、寿命を少しでも長くしてあげるためには、ストレスを溜めないこと、食事の管理を徹底すること、老化の兆候をいち早く捉えて大型犬に合った生活環境を整えてあげることがポイントです。

獣医師は病気やケガの治療を行えますが、病気やケガの兆候を掴めるのは飼い主です。

愛犬の状態をできるだけ正確に把握し、ライフステージに合った環境を整えてその生活を支えてあげてください。