飼い主さんが今愛犬の介護で悩んでいる方も、これからの方にも
いまは元気いっぱいでも、愛犬はいつか必ず老いるときがきます。もしかしたら、寝たきりになってしまうかもしれません。
飼い主さん
そう決意していても、いざ愛犬に介護が必要になれば戸惑うことがたくさんあるものです。
では愛犬に介護が必要になったとき、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
食事のさせ方と、水の飲ませ方
年をとって足腰が弱くなった犬は、今までのように下を向いて食事をする姿勢が辛くなります。
ある程度の年齢になったら、食器を台の上に置くなどして、少し高めに設置してあげてください。
また、寝たきりの犬は体の左右どちらかを下にして、横になっていることが多くなります。この状態で頭だけを上げさせて食べさせると、気管や肺に入ってしまうことも。そのため、食べさせるときには「伏せ」の姿勢にして、頭を少しだけ持ち上げるようにすると、食べ物が飲み込みやすくなります。
お水を飲ませるときも同様で、できるだけ「伏せ」の姿勢にすることが大切です。
横向きのまま飲ませようとすると気管に入りやすく、それが原因で誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)にかかりやすくなるからです。
お水は食事に比べるとむせやすいので、少量を食器に注ぎ、少しずつ注ぎ足してあげたほうが安全に飲むことができます。
トイレの介護
愛犬の足腰が弱っていても、自力で排泄をしようとするうちは、できるだけオムツに頼らずに排泄を手伝ってあげてください。足がふらついていても腰を補助することで、排泄の姿勢をとれることがあります。
寝床のすぐそばにトイレを設置しておけば、失敗を減らすことができるのではないでしょうか。
もしも、間に合わなくて粗相をしたり、排泄の途中でふらついて足や体を汚しても、絶対に怒ったり嫌な顔をしないでください。
わんちゃんは、一生懸命自力で立とうとしたのです。よくがんばったと労い、優しく体を拭いてあげてください。
自力で立つことができなくなったら、おむつをしたほうがよいでしょう。おむつをこまめに交換するのは一見大変そうに思えるかもしれません。
しかし、愛犬の体を清潔に保つことができるため、皮膚炎などの防止にもつながるのです。
それになにより、おむつ交換の時間が愛犬とのふれあいの時間にもなるのではないでしょうか。
こまめに寝返りを打たせて床ずれ防止を
愛犬が寝たきりになると、自力では寝返りが打てなくなるため、床ずれをおこしやすくなります。
床ずれをおこすと血行障害で皮膚や筋肉が壊死し、皮膚が破れてジクジクした内部がむき出しになります。
ひどいときは骨まで見えてしまうことも。
どれほどの激痛で苦しむのか、想像するだけでも涙がでそうになりますよね。愛犬をそんなつらい目にあわせないためにも、こまめに寝返りをうたせてあげることが体のケアにつながります。
もしも床ずれを発見したら、早いうちに獣医さんに診てもらいましょう。時間がたてばたつほど、床ずれは治りにくくなっていくからです。
また、床ずれを防ぐためにも、寝床には低反発マットなどの、柔らかな素材のものを選んであげてください。
部屋の中のバリアフリー化も
少しでも自力で動けるうちは、できるだけ体を動かすように、愛犬の補助をしてあげてください。その際には、部屋の中をできるだけ安全な仕様にしておくと安心です。
弱った足腰でつまずいて転んだりすると、それがきっかけで寝たきりになることも。段差は解消し、滑り止めなどを利用して歩きやすい環境を整えてあげてください。
また、認知症による昼夜の逆転防止のためにも、気温が高くない日は日光浴をさせてあげましょう。
愛犬と一緒に気持ちよく陽射しをあびながら、話しかけることが良い刺激になるのです。
飼い主が一人で抱え込む老犬介護は疲れのもと
実際に老犬介護を始めると、その大変さは予想を上回ることになるでしょう。
大切な愛犬のためにがんばって、がんばって、その結果飼い主が疲れてしまったら、犬もつらくなります。
なぜなら、犬は飼い主が楽しくしていることを最も喜ぶ生き物だからです。
一人で抱え込んで老犬介護に疲れきってしまう前に、ペットシッターの活用もぜひ考えてみてください。
気持ちと時間にゆとりができることは、必ず愛犬との時間を穏やかなものにしてくれるはずです。